Sword Strike 13


本戦準備


―1―



「あら、随分と大所帯になったわね」

大きな部屋とは言え一部屋では足りずに襖を外して二部屋をつないでいる

更に誠たちに加えて翡翠さんと琥珀さんが手伝いをしているのだ。

流石に此処で話を始めてしまっては迷惑この上ないだろう



「皆さん。此処では何ですから外に出ましょう」

声が通るようにおなかに力を入れて言葉を発音する

「だな。いろんな意味で暴れそうな奴が多いからその方がいい」


橙子さんが一言ボソリと言う

「フンッ」

数名の人間が不機嫌な顔をする。なるほど、これは大変そうだ。



「あ、紗那・・・さん。どちらへ?」

ゾロゾロと行列を作って外に出ようとする私に一成さんが声をかけてくる

「ああ、チョットお話に。多分、戻ってくるときは七人くらいになってると思いますが」

「はい、わかりました。夕食は用意しておきます」

お嬢様扱いはあまり好きではないのだけれど仕方ない。

「ええ、よろしくお願いします」

微笑んで答え、私も外に向かう



「あれ、みんなしてどうしたの?」

遠坂さんと・・・・・見慣れない男が一人。

「何だよ。お前も目的地此処だったのか?」


嘉向が赤い男に声を掛ける。うん、嘉向。この人にさん付けなんてもったいない。

「貴方たち知り合いなの?」

遠坂さんが目を見開く

「ああ、ごく最近のな。だからこそ私と彼女は海を渡ってこれた」

腕を組んで答える。

「なら、セイバーちゃんもいるわけね」

ニンマリと笑うファル。



「チョット待ってください。それって聖杯戦争の英霊の呼び名じゃないですか!」

シエルさんが話を中断する。

それに英霊って・・・・・・

「ああ、そうだ。ちなみに私もアーチャーと言われている」

「なっ・・・・」


数名。そちらの世界に詳しいものは目を見開く

英霊。それが魔術師のチームに二人も参加することになる。

それは・・・・・・・



「そうか、本名じゃなかったんだな。通りでフザケタ名前だと思った」

・・・・・・・

・・・・・・・


「この馬鹿司祭! 名前を聞いた時点で気づいたらどうなんですか!」

「馬鹿馬鹿いうな! おまえ、今度言ったらお前の上司に直通電話で”第七司教は男と食い物に狂ってる”って連絡してやるからな!」


「まぁ、その話しは置いておいて、先を急ぎましょう」

この二人は口喧嘩を始めると止まらないみたいだ。こういうのは問答無用で先に進めた方がいい。


また、ゾロゾロと歩き出す




−2−


「さっむーい、いきなりなんなのよ!」

店から出ると、そこは住宅街だった。

更に、私たちが出てきた家は洋館のような家。多分中に入っても喫茶店はなくなっているだろう。

これにこの魔力を含んだ土。これは間違いなく腕の立つ魔術師の要塞だった。


「姫流。此処は・・・・・・」

銀迩も気が付いたみたいだ・・・・

「ああ、気にしなくて良い。私の関係者の家だからな。それよりも行くぞ」

「はいはい」

適当に返事をして、歩き出す



・・・

・・・・

・・・・・


「まったく、この寒空の下を引きずりまわされて着いた先がこんな草原だとは」

春や夏ならまだ許せるが今は冬。あまり嬉しくない。

「姫流。アッチに二人でオネムしてる人たちがいる」

銀迩の指差す先には少女と少年が寄り添うようにして眠っていた

「ったく、馬鹿じゃないの? そのうち凍死しちゃうんだから!」


走ってその少年たちに近づく

「これは・・・・・」

「まさに・・・・・」


「「犯罪!?」」

銀迩と声が重なる

明らかに幼さの残る少女と高校生の青年。しかしどう見ても兄妹には見えない。となれば答えはそれしかない。


「この変態がぁっ!」

「ぐはぁ!」


寝ている男の鳩尾に思いっきり蹴りを入れる


「銀迩」

「了解」

銀迩が女の子を抱き起こす

「えっ!? あ、あの」


「大丈夫、こう言った性犯罪者は私が徹底的に更正させてやるから」


「そうそう、ああ言う男は姫流が何とかするから俺たちはアッチでゆっくり休んでようか。うーん、ちっちゃくて可愛いねぇ」

あの馬鹿。全然駄目だ。錐を手にして投げつける準備をする



「話を聞きなさい。それに私に障るな!」

バンッと空気がはじける

銀迩が抱きかかえていた少女が鎧姿となっている?


「いきなり、何ですか。事と次第によってはただではおきせん」

これが、自分よりも年下の少女が持つ力か?

これではアルクェイドほどでは無いにしろ人間の持てる力を超越している。


「べつに、貴方をそこの変態から助けただけでしょう?」

目を向けると、呆然としている茶髪の男


「何を言ってるのです。私のマスターを変態扱いしないで頂きたい」

・・・・・・

「え・・・っと、益太さん? 名前? 苗字?」


「ふざけるのはやめなさい。彼は私のマスターだと言ったのです」

マスター。日本語にすると・・・・・・ご主人さまぁ!?

「なるほど、お互い趣味があってるわけか」


「だから、違いますって。何を勘違いしてるんですか〜!!」

ガォ〜ン! ってライオンの唸る効果音が聞こえた

「姫流ちゃん、コイツ使い魔だ」

いつの間にか私の横に銀自我移動してる

「使い魔?」

「俺も聞いた事しかないけど聖杯戦争とか言うのでそういった奴らがいたらしい」

ああ、なるほど。彼の系譜を辿ればそちら側にたどり着く。

だからこそ、彼が使い魔か否かは間違えるはずが無いのだ

「ただ、精霊っぽくも感じるんだよなぁ?」


「なにそれ?」

「さぁ?」

手の平を見せて首を振る

「まぁ、良いわ。爺さんに聞いてみれば」

「あれ、あの人何処にいったんだろ?」

彼女たちを見つけてからは気にもしていなかったのですっかり忘れていた


「・・・そういえば、説明がまだでしたね。私はセイバー。そして・・・・」

「俺が衛宮 士郎だ。一応セイバーのマスターだった」

「過去形にしないでください。私は永遠に貴方のサーバントです」



「なるほどね」

力関係で言えばマスターの方が下のようだ

「私は姫流。七夜 姫流よ」

「それと、俺が彼女の恋人の伏見 銀迩」

さっき用意していた錐が即座に放たれる

「コイツは全然違うから。絶対に誤解しないでね」

近くの木に磔にされた銀迩を指差して、ヤケクソ気味にこれ以上無いって言う笑顔で否定する。



「ん? なんだか大勢さんがこっちに来るよ?」

そう言う銀迩の目線を追うと、二十人近くの人影が此方に向かってきていた。


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