Sword Strike18


C/B

「なるほどね。お前が言った意味が少しは理解できた」

車内から眺めていた公園。実際に中に入れば、それは異界ともいえるような場所だった。

日が沈んでいると言うのもあるのだろうが、人が近寄りがたい雰囲気が漂っている

「それにしても、汚染されたモノをぶちまけられたのね。表面上は薄くなってるけど深い部分で沈殿してるみたい」

周りの木をペタペタと触りながらアルクェイドが呟く

瞬間、肌が引き攣る


刺さるような感覚。本能が警告をしてるんだ

ゆっくりと足音を消し、息を潜める。

木の影に移動しながら、発生源を探す

蛇行するように、不規則に、ゆっくりと位置を変える



「へぇ、なかなか。あのモヤシ君は有能だね」

男性の声

「ま、当然じゃないの。あっちのリーダーらしいから」

女性の声

しかし声は聞こえても、それが何処からなのかわからない。漠然とわかるが、それだって確信が無い。そう思っているのか、騙されているのか


――そういえば、アルクェイドは

いや、大丈夫なはずだ。アイツだって隠密行動は出来るし、逆に堂々と正面から出て行っても問題ない



「始めまして。かな?」

アルクェイドが微笑んでいる

その微笑みはいつもの無邪気なソレではなく、ある種の挑発と言った感じだった

「さすが、真祖の姫。よく居場所がわかりましたね」

声は真後ろからした

「クッ」

一閃、飛んで身を翻す

「速い。嘉向の倍くらい早いんじゃないの?」

男性も女性も二人とも俺の後ろに居た

「そうだな、運良く視認できたから良いが、やっぱり同じクラスの奴とやり合ったら運次第って事になるな」

此方の事なんか相手にして無いとばかりに話している

「それにしても、いきなりタッグ戦になるなんてね」


アルクェイドの視線に力が篭る

「あ、そうそう。俺は白澄嘉向、隣がパートナーのファルだ」

自己紹介?

「私はアルクェイド、アルクェイド・ブリュンスタッド。多くを語る必要は無いでしょうけどね」

「あ、俺は遠野志貴。一応リーダーって事になってるみたいです」

すっかり忘れていたが、いつの間にか強制的に多数決による民主的な決定をされていた模様です

「なるほど、お前がね。なら好都合だ」

一陣の強い風が吹いた、

「アルクェイド・ブリュンスタッド。真祖の姫よ・・・・・・」

「なによ、やる気?」








「シエルのお守りをありがとう」




はい!?

一瞬、時間が停止した

「ソレと、その男がロアを倒してくれたんだってな。重ね重ね感謝している」

前に右手を折りたたんで、深く頭を下げてくる



「えーと、それってどういうことです? シエル先輩、教会にはアルクェイドの名前で倒した事にしておくって言ってたんですけど?」

「ま、表面上の書類はね。でも私たちを抱きこまないとそんな事は出来ないのよ。内部監査が主の私達は内務処理もしてるんだから」

なるほど、と相槌を打ちたくなってしまった

「ソレって何、やる気は無いって事なの?」

アルクェイドが珍しく焦れた対応をしてる

「今はね。それよりも先にやる事があるからな。ファル」

「了解」

ファルと呼ばれた少女が公園の隅にある水道に駆けて行く

手には数本のビン

その中に水を入れて持ってきた

「さて、ちょっと待っていてくれ」

嘉向さんがビンをベンチの上に置き、手を翳して何かを呟いている

「うわっ、最悪。私は離れるね」

アルクェイドが数メートル後ろに下がる

「どうしたんだ?」

俺も後を追う

「あれ、祝福をかけて聖水を作ってるのよ。司祭って話しだしね。私は目が腐るからああ言うのは見たくない」

目が腐るとは比喩だとしても、感覚的には俺達が黒魔術の生贄の儀式を見てるような感じなのだろう

「さてと、ファル、配置してきてくれ」

「はい」

トンと軽く地を蹴って姿が消える

「姫様、ちょっとこっちに来てくれ」

嘉向さんが呼ぶ

「何よ?」

と言いつつも歩いて行くアルクェイド

「いや、全体を浄化するから貴女にはキツイだろ。此処に孔を作るからそこに居てくれ」

カリカリとチョークの様な物で何かを書いてる

「余計な気遣いね」

「かもしれない、でもやっぱり嫌だから」

「ふぅん」

腕組みをして、不遜に構えてる

「嘉向さんて女性に優しいんですね」

率直な感想、こういう人はモテるんだろうなって思う。

やっぱり見た目は日本人でも外国で育った人は違うな

「いや、女性は嫌いだし、優しくするのも苦手。ただ、最低限の対応はしないとな」

此方を見ることなく、淡々と答える

「ってことは、その最低限の基準が高いわけですね」

「余計なお世話」

キュっと言葉と同時に模様が完成する

「浄化は持続させないから、終わったら出て大丈夫だからな」

「嘉向、終わったよ」

トンと嘉向さんの隣にファルさんが戻ってくる

「ご苦労さん、んじゃ始めるか」


祝福の言葉と印によって、この公園の違和感が圧倒的に薄らいだ


「■■■■――――」

獣、それも猛獣のような絶叫が周囲に響き渡る

「なに?」


アルクェイドが振り返る

「なんだ、コイツは」

「ありえない」


気骨隆々の巨人が立ち、雄たけびを上げていた



M/P

「で、私たちにはどんな小言を言うわけかしら?」

遠坂が声を荒げて質問する

「そうだな、まずはその得意げな鼻っ柱をへし折ってみるか?」

橙子さんも上等とばかりに喧嘩腰だ

「鮮花」

「はい」

俺たちと同じくらいの年齢であろう少女が前に出る

「魔術を空打ちしろ」

「いいんですか?」

少し心配そうな顔

「ああ、被害が出ないように注意しろ」

コクリと頷くと、庭の中央部に移動して周りを見回す

「・・・・・ふぅ」

深呼吸して、集中して行く。わかる、スイッチを入れている事が

一つ一つ、網目のような回路に魔力を流しているのだろう



「――Azzolt!」

ドォォンと空気の破裂する音

盛大な花火のように、一瞬周りを明るく照らし出した

「・・・・・・わかったか?」

わかったって何が?

「うそ、あれはシングルなんてもんじゃないダブルの中でも最高レベルの威力じゃない」

「でも、詠唱はシングルだっただろ?」

「ええ。でも、明らかにシングルの威力を超えてるわ」

「そうだ、鮮花は相性が火と非常によくてな。他のは並以下だが、事火を使った能力なら希少な才能の持ち主だ」



「で、なに?」

キッと橙子さんを睨む

「あんなの、魔術刻印を受け継いでるからできるんでしょ。逆に貴女の刻印を受け継いでソレしか能が無いって言った方が良いんじゃないですか?」


そうなのだろうか?


「くくく、はは、あははははは」

「なによ!」

「お前は馬鹿か、鮮花が魔力を使ったとき、刻印は見えたか?」

「見えない場所って事も・・・・・・」

「私自身、刻印を持っていない。つまり、鮮花が持っているはずが無いんだ」

ってことは、彼女、鮮花さんは俺と同じでありながら、あれほどの能力があると言う事になる

「ま、威力が高すぎて自身が傷つくから、グローブだけは与えたが」

「それが何だって言うのよ!」

「それだ」

指をさす

「――え?」

「お前みたいに全てが高レベルでまとまってる奴は、自分の能力以上のものを見せられると取り乱すんだ」

俺のときもそうだったな

「そのうち、自分も、周りも見えなくなって自己崩壊する。そんな奴が知り合いにいたものだからな」

一言”アルバ”と呟いたような気がした

「ともかく、そいつは天才って言われてる奴の典型的な欠陥だ。私が責任を持って矯正するから覚悟しろ」

「鮮花」

「はい」

「お前も毛色は違うが同じ天才肌だ、お互い足りないものを勉強し合え」

「わかりました」


するって言うと、次は俺の番だ

「衛宮」

「はい」

「寝る」

「はい?」

それはどういう意味でしょうか?

「来い」

「え、えええ! ちょっと、それは流石に・・・・・・」

「なに言ってるんだ、寝るから場所を案内しろと言ってるんだ」

「あの、俺には何か無いんですか?」

「んー、そうだな。無理せず頑張れ」

それだけを言ってタバコに火をつけた

「ひでぇ」

マジで、泣いちゃうよ?


「ったく、お前みたいな特殊中の特殊な人間は私の専門外なんだよ。式とはタイプが違うから更にたちが悪い」

「なんで俺が特殊なんですか?」

「見てわかるだろ」

クイッと顎でセイバーを指す

「聖杯戦争を生き抜いて、尚且つ魔術師としての才能は皆無」

うわっ言ったよこの人、言い切りましたよ!

遠坂以上に血の通ってない人がいます!


「そいつが生き残っている以上、セイバーの能力以外に、何かあるはずだ」

俺に向ける視線が嘲りから、指すようなものに変った

「予想だと、封印指定級。もしくは、嘉向やシエルに見つかったら生命すら危ういレベル」

「っ・・・・・・」

ゾクリと背中に悪寒が走る

「ともあれ、お前さんの壊れ方はまだまともな方だし、コレが終わるまでは大丈夫だろう」

その後の保証は無いか

「壊れてるって、どういうことですか?」

黒桐さんが聞き返す

「――こちら側の世界の住人は少なからず全員が壊れてる。壊れ方は人それぞれだ。愛しいから殺すもの。殺したくないのに衝動を抑えられないもの。唯一共通してるのはそれ自体の悲惨さを自認できていないことだ」

ならば、一見普通に見える遠坂も、何らかの壊れ方をしていると言う事か・・・・



N/D


「紗那様、どうしたんですか急に?」

「嫌な感じがします。まったく、どうしてああいう人種は厄介ごとを抱え込むのかしら」

誰に言うでもなく、紗那様が呟く

「朱加、黒良、先に行きます」

紗那様の持つ刀が紫電に包まれる

それは、布津御霊 建御雷神とも言われる神剣が力を与えてる証

トンと一足で姿が小さくなる

置いていかれる

「黒良」

「わかった。反動に気をつけろよ」

首にかかっているネックレスを外して、黒良に投げつける

「俺はゆっくり行く、走ったりするのは苦手だから」

既に息を荒くし始めている

ドクンと心臓が大きく波打つ

「来た来た」

体中に溶岩が流れる様な感覚。目の前がパチパチとフラッシュする

「それじゃ、また」

押さえてきたものが溢れ出す。血が見たい、戦いたい。

その衝動が大きく膨れ上がった



「戦闘狂(バトルマニア)・・・・・・」

走る速度を下げて、呟く

普段でも気性の荒い朱加。それでも、普段は”本物”の精霊石であるペリドットで抑えているのだ

彼女の本性は生粋の戦闘狂なのだ、とりわけ今回のように長期間抑えていたものを開放するとたちが悪いのだが

「ま、今回はコレくらいが丁度良いのかな」

ため息

それは自分のポジティブな考えに対してか、相手になるモノの強さに対してかわからなかった



「■■■■――――」

ビリビリと空気が響いた

「なんだ、コイツは!」

人間?

そんなはずは無い

誰かが召還して身を潜ませていた?

それがさっきの浄化を引き金に暴れだしたのか

「これは、半端じゃないわね」

姫君が冷たい目線で見てる

「仕方ない」

「そうね、サポートよろしく。あと志貴を間違えて撃たないでね」

ゴウッと言う突風、いや、姫君が移動しただけだ

「せいっ!」

一撃、雄たけびを上げていた巨人が吹き飛ぶ

地面をすべり、数メートルその巨体を滑走させて停止した

「■―――」

それでも、ダメージは少ないらしい、すばやく立ち上がり、突進してくる

「ちっ」

三発、眉間に集中させて撃つ

「■■■■―――」

「マジかよ、祝福された銃弾で無傷か」

拙いな、コレだと逃走も出来るかどうか

「貴方たち、さっさと下がりなさい。一般人が敵う敵じゃないわ」

姫君が叫ぶ

カチンと来た。そりゃこっちは生身の人間だが・・・・・

人間は人間也の力ってもんがあるんだ!

「ファル」

「はい」

「アレを使う。それまで姫君を援護してやれ」

「了解しました」

コレで良い、姫君と言われていても、女に情けをかけられる位なら・・・・・

「大体、姫様なら大人しく守られてろっていうんだ」

グローブを外し、銃をホルダーに修める

集中、自分の中の古いもの。流れるもの。源に



「我は白き者也、勝利の上に勝利を持って駆ける者也

手には白銀の弓。王冠を被り、権威を以って死を与える者也」



光が周りを包む。それは全てを白く塗りつぶす

光が収束し、右手に吸い込まれていく

「さて、行くか」

一度、手を握り締めた後、銃を再び手にして、リボルバーのドラムを交換する。

ドラムには弾丸を詰める穴は空いていない、その代わり、複雑な模様が何層にも掘り込まれている



「この馬鹿力!」

姫君が呟く

後ろから周りを塗りつぶすほどの白色光

それが消えてゆく

ああ、彼が覚醒したのか


「姫君」

戦斧を思わせる剣を避けて、女性を呼ぶ

「なに?」

「一瞬だけで良い、動きを止めたい。私が右手を止めますから。姫は左を」

「ちょっと、人間にできるわけ・・・・・良いわ、貴方がどうなっても知った事じゃないし」

複雑な顔をした後、答える

「それでは、いきます」

振り下ろされる戦斧

踏み込み、握る手の部分を受け止める

バキリ、ミシミシと言う音

「人間の癖にやるじゃない」

巨人が左手を振りかぶった瞬間。姫君が掴んで抑える

「ジョーカー!」



「ナイス、タイミングだ」

集中は限界、白い銃身に掘り込まれた模様をエネルギーが駆け巡る

「大暴れした責任は取ってもらうぜ」

引き金を引く、最高級の概念を解き放つ。神を一矢で仕留めた。必中の力を



”白銀の弓” ――アルジトロサクス――



銃口から放たれたのは弾丸ではなく、白い閃光。その閃光は巨人の頭部に吸い込まれていく


一瞬にして頭部が消滅する



「フゥ」

着地して、一呼吸


「やってくれるわね。起源覚醒、ホワイトバレル、白銀の弓。これで貴方は間違いない」

「なにがだ?」

姫君の目が凶っている

「なにが? そんなのわかるわけ無いじゃない。貴方の名前がわかるのは貴方だけなんだから」

「俺は、白澄嘉向だ」

それが俺の名前。他には無いはずだ

ジョーカー?

いや、それは組織の呼び名。意味は無い

「ジョーカー?」

「ああ、悪いな」

後ろに立つファルを見る

「思ったより酷いな。悪い、無理させて」

ダラリと下がった両腕を持つ

「いえ、貴方が必要としたのなら私は構いません」

表情には痛みを表していないが、気絶しなかったのが不思議なくらいだ



何故なら・・・・・

両腕からは骨がはみ出し、何処が関節かわからないほど拉げてしまっているのだから

ファルも相当な力を持っているが、圧倒的にあちらの方が上だったわけだ

「ちょっと待ってろ」

力を両手に込める



イメージは

体を流れる血液

その流れを右手に集中する

そしてその流れをファルの両腕に流れるように


「おしまい・・・・・・」

疲れた、流石に全開で力を使ったからこれ以上は動けそうに無い

「ジョーカー」

まだ戦闘状態の解けないファル

「・・・・・・しつこいな」

振り返ると、消滅したはずの頭部は既に筋肉まで修復されていた

「蘇生能力」

厄介だ、奴の魔力が切れるまで繰り返す余裕は無い

「力を使えば・・・・・・」

「ダメだ。被害が大きすぎる。それにいきなりは卑怯だ」

姫君たちがいるこの状態では使えない

「シッ・・・・・・」

黒い影が巨人に襲い掛かり、一突き、それでお仕舞い



「なっ・・・・・・」

ありえない光景だった。かき消すようにその存在がなくなる

「――たすかった」

「いや、お互い様だろ」

すぐさま、男はメガネをかける

と、言う事は魔眼か。詳しくはわからない。何の力だ?

もしかすると直死の魔眼?

いや、それは考えすぎだ

「それじゃ、お迎えが近づいてるだろうから今日は此処までだな。明日は楽しみにしてる」

公園の外に向かって歩き出す

「嘉向、良いの?」

「ああ、まだ日付は変ってないからな」

タバコを咥えて一呼吸

そこで意識が無くなった



監視者


「ふぅん、この時代にはとんでもない人間が山ほどいたのね」

木の上で気配を消して観察する

公園からゆっくりと移動する女性。

一人は長身、一人は少女

二人とも、魔を感じさせた

爺さんが言うには”聖杯を奪おうとする第三者がいる”との話しだが、彼女たちがそうなのだろうか。

わからない。

結論はそれだけだった。早合点は良くない。

少なくとも、規模が判明するまでは

「それにしても、アイツはなにやってるんだか」

一人、と言うのも何かと堪える。

だって、あっちはそれぞれ二人なんだから・・・・・




−教えてくれよ 琥珀先生!−

琥珀:いやいや、今回は難解なお話ですね〜

翡翠:まったくです。何も知らない人はどうすれば良いんでしょうか?

誠 :作者が、どうしても知りたければ古事記と聖書を読破しろとホザイてますが

一同:そんな偏屈人間はこんな話し読みません!


神の閃光


琥珀:イタッ

翡翠:キャッ

誠 :うわっ



琥珀:うわーん、神様が殴ったー

誠 :酷いです

翡翠:私は頭を撫でられました



琥珀:ぶー、差別差別

誠 :差別です

翡翠:今回の本題は、やっぱり”白銀の弓”ですかね?

琥珀:進めてるし。まぁ、良いわ。えーと白銀の弓って言うのを説明すると

   オリンポス神話に出てくる双子神のアポロンとアルテミスと関係があるのよ
    
翡翠:また余計なジャンルに手を出してるわけですね

琥珀:まぁ、端折っちゃうと、豆粒くらいの泳いでる神様の頭を射抜いたアルテミスの弓。
   
   コレがアルジトロサクス、白銀の弓って言われてるのよね

誠 :アポロン・・・・・

琥珀:詳しくは聖書とオリンポス十二神を調べろって事で!

翡翠:まだ、何か含みがありそうですね・・・・・



銀迩:ふっかーつ! 次こそは、次こそは出場してやる。まってろや、ダーク・○ュナイダー!

   ※出場してません
   
   
   
姫流:この馬鹿! 各方面から突込みが山ほど来るでしょうが!

数分経過

銀迩:あががが

ステータス更新

銀迩、全治二週間のため、またも出演無し決定

銀迩:しくしくしくしくしく





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送