Sword Strike4

遠野 4


「さて、それじゃ行きましょうか」

いよいよ出発。

何故黒塗りのワゴンで高級そうなのかは気にしないで置くとしよう

それよりも・・・・・



「先生、何でここにいるんですか!」

「だって、姉貴は協会のチームにいるし、退魔師に知り合いはいないもの」

周りの視線が集まる

「だから、今回は志貴たちのサポーターとして説明に来たのよ」


今回に限って帰らずに俺たちと行動を共にする気だった。

「サポーターってなんですか!?」

「ああ、言い忘れてたわね。今回あと二チームあって、そこにそれぞれサポーターがいるわ

まぁ、戦ったりはしないし反則をさせないって事で審判と言っても良いかもしれないけれど」



つまり、そのチームを止められるだけの力を持った人が後二人もいるって訳か

「で、誰なの、他の二人は?」

アルクェイドが睨むように先生を見る

「・・・・・一人は”宝石”のゼルレッチ。もう一人はネロ・カオスよ」

「えー、じいや他のチームにいるの?」

アルクェイドが驚きの表情をする

そういえばいたな、アルクェイドの後見人とか何とかって人が

手紙とかでやり取りをしてるらしいけど、俺は会った事すらないから関係ないよな



・・・

さて、気になる事が一つある

秋葉とシオンは琥珀さんたちと話してるのに、何処にも話に加わらないで一人で板を数えてる人がいるからだ

「シエル先輩、大人しいじゃないですか。いったい何を数えてるんですか?」

「ああ、いえ、急な話しだったので黒鍵の数が足りるかなぁ・・・・なんて思いまして」

「え、黒鍵て普通はそんなに小さなものだったんですか!?」

道理で何十本も持ち歩けるはずだ

大きさとすれば柄を数ミリに刻んだようなものか

それに刻印がしてある

「そうね、当たり前になっていたから気にしなかったけど貴方の魔術は人間の桁を一つか二つ上回ってたものね」

アルクェイドがそんな事を言う



「どういうこと?」

「通常の代行者ですら、柄と聖典を封入したものをあわせて投影して黒鍵とするのよ。

だから持てて十数本。これなのにシエルは自分の能力にモノを言わせて簡単な象徴を施した切れ端から作り出してるの

第七聖典を行使できるのもそのお蔭ね」

つまり、俺なんかが第七聖典を使ったところで単なる鉄塊に過ぎないわけだ。

シエル先輩も”人類”という分類なだけで”人間”とは完全に違っているなぁ

「遠野君、そう言う事は表情に出さない方が良いですよ

まぁ、命がなくなって良いのなら止めませんが」

スイッとシエル先輩の持っていた板が黒鍵に変る

「冗談です。ごめんなさい!」

「まったく」



また、唯の板切れに戻る

「なんか、見てると簡単そうですね」

先輩は何の苦もなくやってのけている

「たしかに、私は熟れているのもありますから簡単ですよ」

サラリと答えて

手の中で黒鍵にしたり、板に戻したりしてる

その度に切っ先がアルクェイドの目の前を通過するのだが、それを怪訝そうに見てるのがなんとも言えない

「まぁ、シエルの魔力、技量は共に超越種の中でも上位に入れるくらいのものって事ね」

アルクェイドは指二本で黒鍵を掴んでパキパキと折り曲げ、挙句握りつぶして小さな塊にしたあとに先輩に返す

「危ないから、遊ばないでよね」

ポンとシエル先輩の手のひらの上にそれを乗せるが、先輩はプルプルと震えてる



「何するんですかー、唯でさえ数が心許ないのに!」

「良いでしょ、貴方なら半日もあれば数十本作るくらい造作も無いんだから」

「それじゃ、遠野君と出かけられません!」

困ったような、悲しそうな、そんな顔で先輩はアルクェイドに講義していた

頼むから車の中で乱闘はしないでくれと、本気でそんな事を祈った



魔術師 1

「えっと、はじめまして・・・・・で良いんですよね?」

なんか、この人俺んちに臆面もなく入って来たけど・・・・

「ああ。此処にいる全員、顔を見るのも始めてだ」



タバコに火をつける

「あ、これ、灰皿です」

「ああ、すまんね」

トントンとその中に灰を落とす

「で封印指定の魔術師様がこんな町にどんな御用ですか?」

「それなんだが、お前さんが隠し事をしてるから調べて欲しいと言う依頼があってね」



・・・・・・・

「それは・・・・」

遠坂の顔が厳しくなる

それも当然、遠坂自体はやましいことなど無いが俺の事を隠している。

「まぁ、気にする事は無い。そこにいる爺様が仕組んだことだろうからな」

頬杖を着いて怪訝そうに大師父・・・ゼルレッチさんを見る



「さすが、姉妹だなそういった事に鋭いのは変らんようだ」

此方も動揺した気配もなく笑って答える

「すまんが、アイツの事は口にしないでもらおう。誰彼構わず殺したくなるからな」

一瞬、背中に悪寒が走るほどの殺気が走った

「それよりも、だ。自己紹介位するのが普通じゃないのか?」

そうだな、俺も彼女たちもお互いのことを知らない

名前くらいは知っていないと会話にすら支障が出てしまう

「そうじゃな、ワシはゼルレッチ。まぁ、宝石とか魔法使いとか呼ばれておる。」

「次は私ね。遠坂凛よ、一応此処の管理者。」

そうすると、俺の番だな



「俺は衛宮士郎。魔術師見習いと言うか、魔術使いと言うか、とりあえずそんな感じです」


「なるほど、よくわかった。士郎とか言ったな、後で詳しい話を聞かせてもらおう」

「な、何でこんなへっぽこ魔術師に話を聞くのよ。そう言う話なら私に聞くべきでしょう!」

うわ。久しぶりにそんな言葉聞いたぞ。

懐かしいような、悲しいような気分になるので今後言わないで頂きたい。そう是非とも。

「お前はバカか?

情報を引き出すなら当然、口の軽そうで嘘のつけない奴を尋問するだろ」

タバコを咥えた女性が答えてくる

「ああ、確かにその方が効率は良いわね」

気がついたとばかりに手を叩いて納得する遠坂

「そこは納得するところか?」



「まぁ、言いたい事は多々あるだろうが自己紹介が先だろう」

確かにそっちの方が先だ

「私は蒼崎橙子。わかってると思うが封印指定だ。

人形師とか言われてる」

封印指定と自分で言うのはバラすなと言う意思表示だろう



「黒桐鮮花です。私はそちらの衛宮さんと同じく魔術師見習いです」

ああ、俺と同じなんて言わない方が良いぞ

遠坂がなにか言いたそうにしてるし

「で、俺が両義式だ。適当に呼べ。それとそこの赤い女、お前には後で話がある」

ギロリと音がしそうな目で遠坂を睨んでくる



「やめろって式。

えーと。僕は黒桐幹也。橙子さんに雇われてます。

それと僕は魔術師でもなんでもないですから誤解しないでくださいね」

確かに、この人は十分すぎるほど普通の人だ

あの面子に囲まれて一般人でいられるのが以上と言えば異常だろうけど・・・・



退魔師2

「それで、私に参戦して欲しいと?」

真意はわからない

しかし、悪意が無いのはわかる

「うむ、前回のメンバーも含めて各々チームを組むそうだ」



それはつまり・・・・・

「私たちは独自にメンバーを探す必要があるわけですね」

とは言え、退魔師の中には共同で戦える者はいない

私を畏怖はしても、信頼している人間は少ないのだ。

その中で戦え得る人材は今此処にいる誠たち三人以外にはあり得ないだろう

「そう悲観する事も無い。ある人物の伝で暗殺集団から人材を回してもらえるようにしてある」

ニヤリと此方の考えを見越したように言葉を続ける



「なるほど。彼らの中になら信頼に耐えうる人物はいるでしょうね」

此処数年で台頭してきた集団

暗殺を旨としていながら、その手を悪に染めない希少な存在

そのあり方は私たちと似ている。

魔に組したものであれば容赦なく始末する

依頼があれば唯の人も対象となるが、脛に傷を持たないものを対象とした事は無い



唯一違いがあるとすれば、その有り方

実行するとなれば一切の容赦が無いのだ。

女、子供、操られているもの、操っているもの、その全てに容赦と言う言葉は通用しない

「今夜だ」

一言。ネロが口を開く

「わかりました。私が直々にお迎えしましょう」

笑顔で答える

さて。どんな人物が来るのだろうか。

少し能力で”読んで”見たくなったけど辞めておく事にした

だって、楽しみは後に取って置くものでしょう?









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