Sword Strike9



魔術師4

「うぅ〜〜〜」

お寺に向かい歩く最中、遠坂が唸る


結局、あの後散々もめた末に行くことに決まったのだが、最後まで反対していたのは遠坂だった

「どうしたんだよ?」

「どうもこうも無いわよ。どうやってあんな化け物集団と戦えって言うの?

そんなに世界一決定戦やりたいなら銀河の果てで勝手にやって欲しいわ」

頭から湯気が出そうなほど怒ってる。さっきは参戦する気だったのに・・・・



「それに、大師父は用事があるっていなくなっちゃうし。勘弁して欲しいわよ」

今度は下に視線を移す。あ、多分後悔してるな。

「気にすんな、凄いって言っても話しだけって事もあるし。もしかしたら俺たちでも何とかなるかもしれない」

なんとか、遠坂を励ます

「まだ現状がわかってないみたいだな。良いか、わかりやすく言うなら”完全追尾型の核ミサイル”が一人につき一ダースほどロックオンして飛んできてるようなもんだ」

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

「そんなのこの街どころじゃなくて日本自体がなくなっちゃうじゃないですか?」

俺は当然蒸発しているだろうし。

「ああ、比喩ではなく、本当にそれくらいの規模なんだ。この如何ともしがたい戦力差をどうにかしないと勝てないな」

少し感心した。だって”勝てないな”って言うんだから。

「あくまで”勝つ”つもりなんですね」

「もちろん、逃げられないからな。そうなれば勝つしかないだろう?」

式さんも答える

「そうね、やるからには勝たなくっちゃ。最悪士郎を生贄にしてでも」

「遠坂。吹っ切れたのは良いとして、だ。俺を生贄ってのがお前の場合は冗談に聞こえないんだが?」

「当然でしょ、私こういうとき冗談を言わないもの」

ピンと指を立てて微笑む遠坂。

それはサインした契約書を受け取る悪魔のように見えた



暗殺者4

「ここか・・・・・・」

部屋の明かりが見える

夜風を取るために空いている障子から見える人影は二つ。

それを影から観察する。

談笑をしているのを見ると普通の少女のように見えるが・・・・・・

「彼女ですね」

隣のファルが写真を見せる

「了解。ちょっと挨拶してやるか」

安全装置を外し、藍色の服を着た少女のコメカミに狙いをつける。

「・・・・」

ほんの少しだけ右に銃口をずらして引き金を引く


「きゃっ!」

茶髪の女が悲鳴を上げる

しかし、もう一人は何事も無かったように振舞っている。

気づいていないのか?

「なんで、あんな奴に・・・・」

「ジョーカー!」

ファルが俺の前に腕を出して、飛んできた何かを腕で受ける



「ヤロウ」

少女の方を見ると、既に姿は無かった

「私に用事かしら?」

後ろから鈴が鳴るように綺麗な声がした

「へぇ、これだけの動きが出来るのか」

ファルのほうへ注意が向いた一瞬。その間に此処まで移動してきた。訓練を受けていなければ出来ない動きだ

「依頼により参上しました。用件は?」

そう言ってファルは腕に刺さった小さな短刀を引き抜いて少女に渡す

「此方に。立ち話もなんですから」

少女は微笑んで歩き始める

「では、行きましょうか」

「ああ」

俺たちも後に続いて歩く

「ファル、腕を見せてみろ」

さっき、短刀を受け止めた腕。

それほど深くは無いが、血が滴っている

「っ・・・・・」

その傷口に右手を添える


イメージは

体を流れる血液

その流れを右手に集中する

その流れをファルの腕に

右手が疼く


・・・・・

「はい、終了」

「ありがと」

普段の口調に戻ったファルが腕を確認する

そこには傷どころかその痕さえ消えている

「やっぱり女の子の体に傷があるのは嫌だからな」

「女嫌いの癖に〜」

ファルが馬鹿にしたように笑う

「ふん、行くぞ」

遅れた分、足を速めて前を歩く少女に近づく



調停者1



「〜〜♪」

久しぶりに街に出てフラフラと歩く。途中気に入った物に目を留めては好きなだけ眺めてまた歩く

そうやって休日を過ごしていると、一つのお店が目に止まった

「・・・・・ま、我慢は体に良くないし」

自分を納得させる。


一応、自分も女の子なんだ。やっぱりケーキと紅茶は好き。

でも食べ過ぎると痛い目にあうからそれなりに我慢はしていたのだけれど・・・・・


カランと扉を開けて店内に入る。

少し薄暗いが、落ち着いた雰囲気。

「うん、なかなか良いじゃない」

一人でゆっくりと落ち着くには丁度いい。

あの馬鹿者と一緒になんて絶対に来れない雰囲気だ。


「や、久しぶり!」

そう思っていた矢先、その馬鹿者が奥の席から手を振って私を呼ぶ



「はぁ・・・・・・」

ため息をついて即座に踵を返す。少し名残惜しいがまた後で来ることにしよう

「そう邪険にするものでもないぞ。これから暫くは組んで仕事をするのだから」

驚いて体が硬直してしまう。

振り向いた先には老人が立っていた。

気配などをまったく感じさせる事も無く。

そして、その老人からは闇の匂いを感じた

「貴方は・・・・・」

静かに、手に錐を握る



「別に此処で戦う必要も無いだろう。少し話しを聞いてもらえればいい。ほれ、タルトと紅茶を馳走するから」

「きゃっ」

不覚。目の前のお爺さんにクルリと後ろを向かされて、軽く背中を押される。

なんと言うか、その動作が自然だったから素直に従ってしまった


「ふむ、日本にもこれだけの物を出す店があるのだな」

パイを口に運び、嬉しそうにそう言った後、紅茶を飲む。

それがとても似合っていて

うわっ、この人紳士だ。

って思っった。少しもいやらしくもワザとらしくも感じない。


「で、私とコイツを呼んで何を話したいわけ?」

隣の男に一瞥くれて、質問する

「何だよ姫流ちゃ〜ん、名前で呼んでくれよ〜」

「ああ、もう。そういう良い方したら誤解されるじゃない!」


銀迩が私を恨めしそうに見ている

「はいはい、わかったわよ。銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、銀迩くん、スケベ。女垂らし。」


「・・・・・ゴメン、俺が悪かった」

よし、勝った。

「あ〜、本題に入ってよいかな?」

すっかり忘れてた

「あ、はい。どうぞ」


「では、七夜姫流。お前は祖父と祖母を助けたいか?」

「はい!?」

二人とも既にいないのですが?

「お前さんの考えている通り、この世界にあの二人は既にいない。幾多の並んだ世界の一つ、その世界にいるお前の祖父たちを助けて欲しいのだ」

「そんな、時間移動ができるって言うの!?」

それは既に魔法。



「でも。過去に戻るなんて出来るはず無いでしょ」

私の知識では横に並んだ世界の移動が殆どだったはず。

「ほう、多少の知識はあるようだな。」

紅茶を飲んで、お爺さんが答える

「だが、時間の流れの速さは一定ではない。その世界が全て同じ基準で動いているから認識できないだけだ」

それは・・・・

私たちの世界の一分が並列世界では一時間、一日分の時間である、と言いたいらしい。

「理解したか?」

「ええ、とりあえずは。でも、私が祖父達に会ったとしてどうすればいいんです?」

助けるとかって言われても全然わからない。

「ああ、向こうでは大きな戦いがあってな、そこの審判をして欲しい。そして、条件がある」

それは

1、常に平等であること。

2、自分達の素性を隠しておくこと。

と言う、二つの条件だった

「銀迩、貴方はいいの?」

すっかり項垂れて静かにしている銀迩に相談する。

「ああ、構わないよ。俺、姫流ちゃんのお爺さんとか見てみたいし」

ニコリ、と微笑んで答えてくる

「では、行くとしようか」

紅茶をの入ったカップを空にして、お爺さんが席を立つ

「私の名前はゼルレッチ。そうだな長いからゼルレッチと呼ぶが良い」

うーん、なんかの焼き直しみたいな気がする。

とにかく、この魔法使いの爺さんの名前はゼルレッチとか言うらしい。

私たちもゼルレッチさんの後ろについて行く。

当然代金はお爺さん持ちってことで。



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